平成24年、蔵のまち喜多方と、世界文化遺産になっている南フランスの中世都市アルビ市との交流事業を実施しました。
この事業は、長年にわたり世界文化遺産の番組を手がけられ、アルビ現地の人々ともつながりの深い「きたかた大使」須磨章氏より「古建築物をとりまく社会環境に両市共通のものがあり、国際交流すれば大きな成果になるのではないか。」とのご提案を受けたことが発端となりました。
手始めとして、平成23年10月8日に、「フランスの煉瓦都市アルビと喜多方の蔵」という演題で須磨章氏講演会を開催し、同年11月4日には、同氏を囲む会を開催して具体的な検討に着手しました。
フランス南部の司教都市「ALBI」は、中世からの煉瓦造りの旧市街として、2010年に世界遺産に登録されました。建築資材にふさわしい石が近郊でとれないことから、大聖堂から店舗や住居にいたるまですべて煉瓦で造られ“バラ色の街”と呼ばれ、その美しさを誇っています。
両市とも、かつて農業と物資の集積地として栄えました。双方の建築資材も素材は「土」です。このように、現在に至るまちの歴史や、将来に渡り貴重なまちなみをどのように継承するべきであるかなど、悩みや課題などの多くの共通点があり、アルビに学ぶ点は数多くあると確信しました。
平成24年9月29日〜10月7日
2012.10.2(火) LADEPECHE紙 タルン県アルビ市
日本の喜多方市の代表団がアルビを訪れた。観光名所を訪ねながらアルビ市民とも交流し、日常生活と遺産保存の共生方法の模索を目的とした滞在である。コーディネーターの佐藤麻里子は、「喜多方は、日本の東北地方福島県にあり、アルビ同様、独特の建築を備えた中世からの歴史ある町。住民と行政は遺産保存の問題に直面しており、現代の都市生活の制約との両立を必要としている。」と説明する。訪問の発端は、NHKで放送されたアルビを紹介する番組である。喜多方は寺社や煉瓦の建物など古い建物が豊かで、特に地元の裕福な名士の伝統的な倉庫が「蔵」であり、米や味噌、酒や地元の産物が保管されていた。喜多方の蔵は、4000棟以上に上り、蔵の保存会の代表者も数名アルビを訪問。その他、商工会議所会頭、遺産責任者、日本酒造会社2名なども同行している。トゥールーズ・ロートレック美術館、大聖堂、ボスク城、タヌル川クルージングなどの後、訪問団は、アルビ市長や司教都市世界遺産登録関係者らと会談し、保存地区での生活を見るため個人宅も数件訪れた。日本に帰国後に所見がまとめられ、喜多方の貴重な遺産保護の道筋が探られることになるだろう。(コーディネーター 佐藤麻里子氏訳)
平成24年度喜多方市ふるさと創生事業