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講演会「蔵とアートと演劇のまちへ」

日 時 令和2年8月7日(金)17時00分〜18時45分まで

会 場 北方風土館(大和川酒造店内)

【講演会概要】司会:五十嵐哲矢(蔵の会事務局長)

1 開会の挨拶 矢部善兵衛(蔵の会会長)

2 来賓挨拶

  喜多方市長 遠藤忠一 様
  喜多方市議会議長 齋藤勘一郎 様
  衆議院議員 菅家一郎 様
  衆議院議員 小熊慎司 様
  会津地方振興局長 守岡文浩 様
  会津喜多方商工会議所会頭 佐藤富次郎 様

 各来賓より挨拶を受けたあと、会場参加者に改めて来賓を紹介。

  喜多方市長代理:市教育長 大場健哉 様
  喜多方市議会議長代理:副議長 坂内鉄次(ばんないてつじ) 様
  衆議院議員 菅家一郎 様
  衆議院議員 小熊慎司様代理:小熊則子(おぐまのりこ) 様
  会津地方振興局長 守岡文浩(もりおかふみひろ) 様
  会津喜多方商工会議所会頭代理:副会頭 星宏一 様

 次に祝電を披露。

  法務大臣参議院議員 森まさこ 様
  復興副大臣衆議院議員 菅家一郎 様
  衆議院議員 小熊慎司 様
  県議会議員議員 江花圭司 様

3 講演 「蔵とアートと演劇のまちへ」

  講師 赤坂憲雄先生(学習院大学教授、喜多方市政策推進顧問、北方風土館館長)

[講演要旨]

 県立博物館館長を今年の3月に退任した。今振り返ってみると、任期中は宮使え的な窮屈さもあったような気がする。スタッフをサポートする役割を担っていたため、自分で汗をかく立場ではなかった。これからどうするのかという問いに私の考えは、会津に関わって最後の仕事をしていきたい、汗をかきたいということにたどり着いた。

 来賓挨拶の中で、私の講演をきっかけに福島のことを思い勉学に励む女学生のエピソードを紹介いただいた。はっきりとどの方かはわからないが、震災の後、高校生達に話しをする機会が多数あった。もちろん、いいかげんな話はできない。その女学生の頑張りを聞いて喜びとして感じるだけでなく、自分の言葉から発する影響を考えると怖さも感じると率直に自分は思っている。『汝の足元を掘れ、そこに泉あり』、この言葉を贈ったと記憶する。

 震災後の2013年〜2016年の4年に渡り、倉敷の大原美術館の協力で喜多方市美術館でセピロマ展を開催したことがあった。大原美術館に収蔵されている「セザンヌ」「ピカソ」「ロダン」「マティス」の作品をお借りして1年毎の展示と、大原美術館に縁のある若手アーティストを毎年送り込んでいただいてのアーティスト イン レジデンスとその成果作品展が大々的に行われた。そのきっかけは、2011年に大原美術館で大原理事長と対談をしたことであった。東日本大震災の発生から間もない時でもあり、懇親会の席で、大原理事長から「東北を応援したい、元気づけるために何かできないか」と言葉をいただいた。当時、原発事故の影響により、福島県内では美術作品の移動に制限がかかり、多くの企画が中止となっていた。もちろん、大原美術館の作品も貸し出せない。そこで、大原理事長からは、『大原家』所有の作品を貸し出すというリスクを顧みない提案をいただいて実現に至った。アートと観光、蔵の町、町衆の文化など、倉敷は喜多方と共通する点が多く、学ぶところが多い。“西の倉敷 東の喜多方”と並び評されるように、喜多方が発展していくことを期待する。

 喜多方には大正時代、喜多方美術倶楽部が旦那衆によって設立され、中央から芸術家、画家を招聘し、接待してもてなしを行い、結果、多くの作品がこの地に残された。今で言うアーティスト イン レジデンスの先駆けと言えるであろう。喜多方には、“稼いだお金は地域に還元しよう”といった公を意識した町衆の文化があり、大きなパトロン精神があった。福島県立博物館主催で『漆の芸術祭』が開催された時も、喜多方での開催企画は大変好評であった。その時、喜多方の蔵の一部が活用され会場となった。4千棟もあると言われる喜多方の蔵は、これから文化創造都市事業がなされていく中でも鍵となるであろう。眠れる蔵をどう起こし、活かしていくのか。喜多方の蔵の象徴として甲斐本家が挙げられる。素晴らしい豪奢な建物。市の所有に移管したと伺っているが、これからの活用にはもっと工夫が必要になるだろう。『漆の芸術祭』で、甲斐本家での作品展示を目にしたことがあるが、作品によっては場に負けてしまう。アーティストには、喜多方の蔵に負けない芸術作品作りにぜひ取り掛かって貰いたい。他にも、喜多方駅前にある米倉庫に使われていた石倉は、中に入るとヨーロッパのステンドグラスを見るように大きな梁が宗教的な趣を発している。この石倉を如何に上手に活用するのか、まちづくりの更なる創造を期待している。喜多方の規模のまちで、美術館と言われる建物が沢山ある。喜多方の市民に取っては普通のことかもしれないが、他の町では、絶対に普通のことではないのだ。夢物語から様々な活動が始まって欲しい。

 次に喜多方発21世紀シアターについて語ろう。今年は新型コロナ感染防止のため残念ながら中止となったが、例年通りであればちょうど今日の8月7日〜10日の4日間、喜多方が演劇の町となっていた。驚くことに、運営には300人のボランティアが関わっているとのことだ。20年に渡って開催されているなか、中学生や高校生の時に関わった子どもたちの中には、大学生になり社会人になっても、1年に一度、その時のために喜多方に戻りスタッフとして活動する方もいると聞く。それだけこの企画が愛されている証拠だ。数日のイベントでありながら、喜多方にもたらす経済効果は計り知れない。継続することで、人も繋がり未来を創造していくことにつながっている。

 最後に文化創造都市について話したいと思う。ユネスコの創造都市に認定されているボローニャでは、文化、芸術、演劇によって都市の再生を図った。伝統こそが創造の源泉であると言える。日本では、北川フラムさんがアートディレクターとして参画した大地の芸術祭や瀬戸内国際芸術祭が成功例として有名で、その後に多くの芸術祭が生まれてきたが、必ずしもうまくはいっていない。文化経済学を専門とする佐々木雅幸さんは全国の創造都市を推進する政策支援活動を行なっている方で、喜多方で講話をしていただいたこともある。10月には改めて北方風土館主催で講演をしていただく計画もあり、喜多方のこれからを考える機会となるであろう。文化庁の京都移転が決定した。東京一極集中の日本を、文化面から変えていくきっかけになる可能性がある。金沢には国立工芸館が移転をすることになった。金沢には金沢21世紀美術館がある。有数の来館者数を誇る現代美術を扱う公立美術館である。伝統を守るだけでなく、新しい形に融合していこうという観点が見て取れる。国立工芸館の名誉館長に就任された方をご存知ですか?(会場から「サッカーの中田英寿さんです。」との発言あり。)そうですね。中田さんは、世界を渡り歩いてこられた方。振り返って、日本が世界に誇るものとして酒や工芸に目を向けてこられた。中田さんのように色々な経験をされた上で、特異な眼力をお持ちである方の行動に期待したい。

 これから、北方風土館主催で様々にイベントが予定されている。先ほど紹介をした佐々木さんの講演の他、映画の鑑賞会、コンサート、シンポジウムなど、それぞれの場で発見があると期待する。喜多方での集まりの中では、「喜多方の蔵を活用した“喜多方蔵のまち芸術祭”の開催を何年後かに」というアイデアも出ている。喜多方で、これから様々な試みの中で具体的な形にしていければと思っている。

 思いつくままの話しでしたが、率直な気持ちで話をさせていただいた。ご清聴に感謝します。ありがとうございました。

4 質疑応答

司会)折角の機会なので、お聞きしたいことがあれば、発言をお願いします。

男性)会津若松から来ました。これから“まち”が元気になるような企画が必要だと思う。観光地である湯布院などは、企画できる若者がいるが、やはり元になる財源が必要なのか?先生のお考えを聞かせて貰いたい。

赤坂)地域の人達が関わっていけるような組織づくりが必要だと思う。若者の自由な活動をできるだけ応援してあげられることが大切です。

女性)坂下町から来ました。会津は昔から食べ物には困らない地域です。その収穫を祝うお祭りが坂下の各地域で行われているが、それぞれが行っているだけで、共通のものになっていない感じがしている。どのようにすれば良いのでしょうか。

赤坂)各地域をまとめ上げるコーディネーター役がやはり必要ですね。その人物は、もしかしたらあなたのすぐ近くにいるのかもしれません。

司会)そろそろ時間がまいりましたので、質問の時間を終了させていただきます。

ご講演をいただいた赤坂先生に盛大な拍手で感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。

5 閉会の挨拶 佐藤彌右衛門(蔵の会幹事長) (18時45分終了)

 天空回廊に会場を移して、19時から20時30分まで懇親会を開催。

1 開会の挨拶  矢部善兵衛(蔵の会会長)

2 乾杯     樟山敬一(喜多方観光物産協会専務理事)

3 閉会の挨拶  星宏一(蔵の会副会長)

⽂責 五⼗嵐哲⽮、五十嵐恵太

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