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喜多方の蔵を語る2

令和3年7月16日(金)

登壇者:
赤坂 憲雄(北方風土館館長)
髙野 武彦(会津地方振興局長)
矢部 善兵衛(喜多方蔵の会 会長)
佐藤 彌右衛門(喜多方蔵の会 幹事長)

はじめに

喜多方には四半世紀以上も蔵の存続や補修などについて活動をしている「蔵の会」と言う団体があります。

蔵の会はこれまでさまざまな事業を行ってきました。令和3年3月に赤坂憲雄氏(北方風土館館長)とメディアで喜多方の蔵を紹介した須磨章氏、蔵の会の矢部善兵衛会長、同じく蔵の会の佐藤彌右衛門幹事長が蔵を語る会を企画しました。ところが、赤坂氏が出席者の顔ぶれを見て、「シンポジウムの形式にして、蔵の魅力を語りましょう」と急遽形式を変更し、前蔵の会会長の上野利八氏にも壇上にあがってもらい、一回目の「蔵を語る」が開催されました。

このときゲストパネリストの須磨氏には、NHK勤務時代になぜ喜多方の蔵をとりあげたのかを語って頂きました。須磨氏は東京生まれ、東京育ちで、喜多方の蔵の存在がカルチャーショックに近いものでした。いわゆる蔵というのは品物を保管しておくものというイメージでしたが、喜多方の蔵は、宝蔵、米蔵、作業蔵、住居蔵、厠蔵などと多種多様だったと語られました。以前、喜多方の蔵を広めた方には日本橋で蔵の写真展を開かれた故金田実さんがいらっしゃいますが、今から40年余前、喜多方はラーメンの街としてPRが始まったところでした。そこに須磨氏が「新日本紀行」で喜多方を蔵の街として取り上げてくださったのです。

また、蔵を住居にしておられる上野氏からは、蔵の良さを紹介していただきました。長年住まれているからこそわかるお話しでした。喜多方は単に蔵の街ともてはやされたわけではなく、さまざまな相乗効果によって知名度のある「蔵の街喜多方」になったのでした。

行政との関わりは?

令和3年7月16日、大和川酒蔵北方風土館昭和蔵において、「蔵を語る2」が開催されました。赤坂氏をコーディネーターに、ゲストに髙野武彦氏(会津地方振興局長)を迎え、矢部会長、佐藤幹事長の4名が登壇し、蔵について語りました。佐藤幹事長から、髙野局長は非常に文化について造詣が深い方で、過日一重孔希展を開催した折も非常に熱心にご覧いただいたとの紹介がありました。

会が始まる前に喜多方市教育委員会文化課から、雑誌『歴史の町並』に掲載されている全国伝建協議会の小冊子が配布されました。この冊子には、小田付の連携地区の蔵の写真・人も掲載されているという話がありました。全国伝建協議会の冊子は、全国の伝建地区に選定されている各地区を紹介している冊子で、平成30年に、喜多方市小田付が伝統的建造物群に選定となり、現在の修理修景事業で街並みを整え、整備しているところで、建物も綺麗になってきており、今電柱の裏配線や道路の美装化の事業も進めながら、色々な修理修景の事業も進んでいること、文化課としても、創造都市の事業や伝建地区を快調にしながら、魅力を引き立てるような文化事業も今後やっていきたいという説明がされました。赤坂氏より、文化課が蔵にこのようにきちんと関わるということは、とても大切なことで、通りがきれいに整備されていき、喜多方の運営復興や文化の正しい風景が再生されることがとても楽しみだとのお話しがありました。

今、喜多方の蔵は

【矢部会長】喜多方の蔵の現状ですが、個別的な動きは深くはないですが、小田付の伝建地区が指定を受けて数年になります。毎年3棟から4棟ずつの修景が実行されております。今街並みを見ていくと、徐々に喜多方という、蔵の街で蔵を所有している所有者たちの認識が高まっているのか、蔵がきれいになっている状況が大変見受けられます。また、蔵にも歴史があるということ。蔵がいつ建てられたか、それはハードとしての蔵、建築物としての蔵もあるという見方もありますが、その蔵を建てた方、その時代、どういう環境の中で建てられたかという風なことを各所有者の方が第一に蔵と共に歴史があったと認識していくこと。これを所有者の方々に場合によってはそれを眺め、しっかりと残していくということがとても大切なのではないかと思います。結局、日本経済史から見ても、大体江戸の末期、そして明治大正昭和の全期に、蔵が建てられたということを見ていくと、喜多方の蔵が建てられたのが、幕末の比較的豊かであった頃と蔵と共に歴史があったということがひとつ証明されると思います。さらに世界との貿易があって、清酒業、醸造業のものが、会津から外に出ていき、会津の中でも喜多方の中のものを求められました。それぞれのビジネスが広く行き渡った日本の動きにこの蔵がある、そしてそれぞれがそれを作られたご先祖たちがおいでになったと。そのことをひとつ残していくと。これがひとつ、私は大変なのではと感じておったような次第でございました。

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