1. HOME
  2. ブログ
  3. 喜多方の蔵を語る2

喜多方の蔵を語る2

変えてはならないもの、どんどん変えていくもの

【佐藤幹事長】「蔵の街喜多方」というキャッチコピーが喜多方市に色々あります。蔵って喜多方のシンボルです。大きくなってきた江戸それから今度明治になってから、商人たちが一生懸命稼いで、この蔵を作ってきたわけです。あるいは、その商人たちによって、農業者や開耕業者もいて、非常にいろんなところで財を成して蔵に結びついていきます。変えてはならないものと、どんどん変えていくものと、ここははっきり最近私はつくづく思うようになりました。例えば重伝建、今回の小田付のこの街並みに関しては、古い建築の様式やその技術、あの左官や大工やそれからその歴史が持つその街並みとしてそこにかつてあり、そこには街の歴史が塗り込められている、だからこれは変えるなと。時代を繋げると。今大内宿がそうですけど、これ全国の街並みを行っている地区みんなです。そこに一つ学びの場であり、また観光の場であり、その形です。これはハードの面として、国や文化庁がお金を補助し、それから県や市がそれをサポートしていくことによって、変えていくべきものは徹底して変えていいと思います。ただ、あの蔵壊したんだではなく、蔵を利用して、局長さんが話された様に、蔵の白壁があればそこにプロジェクターで映画会をやってもいい、プロジェクションマッピングで展開してもいい、さまざまなその展開ができるわけです。蔵の中でも、蔵の外でも。様々いろんなことをやってもいいし、様々なイベントができるわけです。特にアートイベントは、特に最近の現代アートに関しては。非常に私が個人的に今最近ハマってきました。前は現代アートって何だろうって思っていました。なんかちょっと馴染めないなと思っていましたが、実際に震災以降、県立博物館で「はま・なか・あいづ」というプロジェクトを行い、全国の日本で活躍するほとんどの前衛の現代アートの騎手たちが福島にみんな入ってきました。そしてその一部の人たちが喜多方にも来ました。また、長嶋さんの蔵や嶋新さんの蔵などのそういう蔵が点在している中、いろいろな方もやってきて、改めて蔵の使い方が凄く出てきたなぁって思っています。ステージとしての蔵ですね。

繋いでいくものは変えない、これは重伝建でやる。ただ、どんどん変化させながら現代にあって、その偏愛が入ってもいい。これからエネルギーの話しも入ってくる。例えば喜多方は全部自然エネルギーでもっていく。すでにガソリンを焚いて走る車の時代も間もなくもう終わる。スマホがあっという間にここ10年ぐらいで席巻したようにそうなるでしょう。あるいはまた、新しいデジタルトランスフォーメーションとか言いますけど、そのデジタルも圧倒的に進むでしょう。今行政も早くデジタル化を推進し、民間はもう進むとこは進んでいます。それを見たって相当のスピードで進むとすれば、アートも非常にデジタルの物になったりすることもあります。あるいは、もっとアナログになるっていうものもあったりする。そういう意味で新しいものとの出会いを、喜多方には幸いにも蔵というのがあって、点在しています。点在という別な点からいえば、ラーメン屋も点在している。だから、入ってきた観光客や、他所から移住した人もあるいは地元の人が喜多方全域まで、そこに農業文化があり、民泊があり、さまざまな農産物との出会いや加工食品との出会い、豊かな会津との風景との出会いをちりばめるように展開していく、そのソフトの部分です。ハード面としてはわざわざ個人の出したくなる蔵の表現は難しいけど、アーティストを招いたり、その仕掛けに対して私はね、積極的に。

【赤坂氏】角館って、蔵を利用した凄い小洒落た、旅館というかホテルが流行っていたりするんですけども、みんな基本武家屋敷です。喜多方の蔵は、商いの街の凄く庶民的な蔵です。もちろん、甲斐本家の凄い蔵もありますけど。歩けば歩くほど、喜多方の蔵って多様だなって思います。便所の蔵なんて笑っちゃいますよね。これは遊びだと思いますね。トイレまで蔵にしてみせるみたいな、その遊び心っていうのは、やっぱり商人の街の柔らかい発想だと思います。ですから、ラーメンが似合うと同時に、わけのわかんない現代アートが妙に似合ったりする。先程の紹介に、何人も若いアーティスト達がレジデンスとかいろんな形でここに関わって、今でも何人か滞在、暮らして絵を描いていますね。これを育てているのが、喜多方の旦那衆ですね。育ててもらっている若いアーティスト達、たくさん僕知っています。いろんなことをしながら一生懸命支えているといったこともあります。

振興局が蔵を支援する

【赤坂氏】佐藤幹事長が話された変える部分と変えない部分があるってとても大事だと思います。それをみんなの蔵として共有財産にしていくような方法に対しては、振興局としては支援が凄くしやすいと思いますね。個人の蔵にというのではなくて、そう意味でも、髙野局長さんに是非我々の想いを受け止めていただければと思いました。

【髙野局長】実際、赤坂先生がお話しされたように、行政が関わりやすいお話になってきたと思います。「振興局って何ができるのって」言うと、振興局残念ながらお金はありません。県事業のサポート事業なんていうと100万円かそのくらいのお金しかない。そしたら他に何できるのっていうと、こういったものを文化庁に行って、文化庁の事業にエントリーしたい、「その申請書どう書けばお金を取れるの」って言われれば私はその支援はできます。前職で会津大学なり医大とかで産学連携をやってお金を取ってくる、1億とか2億とかっていうお金を取ってくる、その申請書をどういうふうに書けば、どういうふうなスキームにすればお金を取りやすいというアドバイスはできます。一緒に文科省や文化庁に行って、会津地域ではこういったものが必要ですというのを役人の心に届くように役人に言うことはできると思うので、役人として地域を応援する、そのお金を取ってきて、一緒に汗をかくとかはできるかと思います。そういう相談には応じていけると思います。あとはいろんな情報交換、提供、できればいいのかなぁっては思っておりますけれども、どんな情報って言われれば、例えば、今最近ポピュラーカルチャーが結構注目されていて、足利美術館の事例です。最近若い人の間で刀剣乱舞が結構ブームになっています。足利美術館で平成29年の3月から4月の間で一か月間だけ、その足利美術館で山姥州広(ヤマンバクニヒロ)っていう刀を展示しましたら、たった一か月で3万8千人訪れたという。1か月で3万8千人。足利美術館でそれまでの1か月のいままでの最高記録の3倍。その、刀剣乱舞っていうのがオンラインゲームで、それに乗っかってやったところ、その内訳が凄いんです。女性が95%。年代的に20代が45%。30代が25%。もう若い方がワッと来るんですよ。それで結局は宿泊業とか飲食、そういったところが潤って、グッズ販売とかそういったところも潤った。ただ、来た方々がどういうふうに感動していったかって言うと、おもてなしがすごかったっていうのが来た女の子たちがTwitterなりInstagramとかそういったところに書き込んでいます。そのやはり来て感激するのはおもてなしです。そのおもてなしも、彼女たちはお金がそうあるわけじゃなくて、全国から来るので、「豪華なパンフレット貰ってすごかった」「こんなパンフレットをタダで貰えるの」とかそういうのが彼女たちの感動だったようですね。遠くからはアメリカとか台湾とか韓国、そういったところからも来ていたということで、栃木県外から来ていた方が27%。それってすごいなぁって思います。京都の国立博物館でも、この刀剣乱舞を使ったコラボを行いました。今ブームですからね。そういったものにポピュラーカルチャーというものも乗っかって行うというのも良いのかなぁ。刀と蔵と言うと、前田利家がずっと蔵に保存していたという大典太光世(オオデンタミツヨ)という刀があるそうです。そういった刀をこの蔵で行うと言ったら、ワッと人が来るのかなぁとは思います。あとは、土方歳三の和泉守兼定(イズミノカミカネサダ)ですと、会津の容保公から土方歳三が下賜したものです。そういったものを展示するとなると、この刀剣乱舞とかとコラボしてもひとが来るのかな。

ただあと喜多方の皆さんに対していろんな観光客の書く日誌に残っているのは、シルバーガイドの皆さんのことです。「案内が良かった」って言う声とか、無料の傘が置いてあるってきいたんですけど、「雨が降ってきたとき、無料で借りられる傘があって良かった」とか。やはり観光客というか、その訪れた方は、街並みとかそういったものにも感動しますが、ずっとそれが残っていくのは、どういうおもてなしをしてもらえたかなとか、そういう機会に出会えたかというのが、こうあるような気がしました。そんなどこから来てどんな目で見られているのとか、そういった情報を我々が収集したものを皆様に情報提供するとか、他でこういう動きがあるよということを今のようにお伝えするとか、そういうのが振興局でもできるかなぁと思います。

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

関連記事