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喜多方の蔵を語る2

会津の民話

【髙野局長】震災後赤坂先生が朝日新聞に連載されていた会津物語。あれを思い出しました。結構私たちは楽しみに見て救われた思いがありました。その民話で、この蔵を語っていくというのはまたいいと思ったところで会津物語を思い出しました。

【赤坂氏】刀剣乱舞じゃないですけども、県博の館長時代の3年くらい前に、刀剣を行いました。あの時も、普段県博で見かけることがない若い女性たちがたくさん来場して、賑やかでした。その時も4万人くらい入場し、近年稀に見る賑やかさでした。人があまり来ないことを前提に動いている県博としもあたふたとして、駐車場どうするかとか大騒ぎになった楽しい思い出があります。朝日新聞の連載は震災の直後だったので、会津の不思議な話を集めようと考えました。狐に化かされた話とか、こんなことこの時にやったら叱られるだろうと思いながら、でもこういう今だから求めているのではないかなって確信犯でもありましたけど。すごく評判は良かったですね。局長に読んでいただいていたということで大変感動です。民話大切ですよね。多分喜多方のこの周辺にも民話的昔話がたくさんあると思います。それを子供たちに伝えるといった試みがほとんどなされてないかのように思えます。でもこの会津には民話語り部、昔話の語り部がたくさんいらっしゃいます。喜多方にもいらっしゃると思います。そういった方たちにお願いして、会津の方言で語ってもらえると、いいんですよ。小さな蔵の照明を落とした中で行うとか、いろんな試みを許してくれるのも、喜多方の蔵なのかなと思っています。文化課でやれないでしょうか?おぉ、頷いてくれていますね。心強い支援がいただけると思ったのは、確かに振興局さんと組んでイベントを作り出すと、確率高くなりますよ。僕の周りではもういっぱい出しているんですけども、みんな負けちゃってます。助成金取り切れなくて、もうちょっと頑張ってねって言われて、でもそれも伝建が全部突破口を開いてくれたし、絶対やりたいですね。つまりバラバラではなく、横に連携することによって、実は新しい風景を作ることができる、そういうことをあまり慣れてないのかもしれないですけども。

汝の足下を掘れ

【佐藤幹事長】赤坂さんがいつも話している「足元を掘れって」いうのが最近年取ってきたせいか分かるようになってきました。若いときはとにかく遠くばかり見ていたため、あっち、こっちのようにと見ていた。改めてここに70年、生まれ、生きて。するとね、「なんでこんなにここが豊かなんだ」っていうのが、つまり財が豊かっていう意味じゃなくて、環境が豊かなんです。水や食料やエネルギーが、実は他所に依存しなくていい。そして、その豊かさがあったから、商売も起こせた。そして他所から来る人にも会津は良いねって入ってくる。その中にさっきのおもてなしの文化もあるわけです。だから、そういうのを見ているとね、おもてなしの蔵と言ってもいいと思います。まぁ蔵以外のものもあるけど。今、その足元にある蔵を、特にこの蔵の宝を掘り出していかないと。まだ、外に見せようかな、見せまいかな、どうしたらいいかなって思ってる人たちはまだまだ多くいるんです。実に大小合わせて、レベルも含めて、4千棟くらい出てくるわけですから、その蔵の形。4千棟っていうのはその職人が関わり、大工が関わり、その旦那が、旦那ってそこのオーナーがどんな思いで蔵を造ったかって、みんな出てくるわけですね。博物館状態になって、これらの蔵は、江戸の末期から数えていくと大体うすら100年とか200年とか、下手すると300年近くなるわけです。するとそのまま、博物館になります。だからどこの断面を250年前に切って、200年前に切って、さらにその次になる150年前に切って、100年前に切ると、その時代背景といろんなものが、未だに足元にある。歴史が縦軸にこう断面状になって出てくるわけです。まぁそのまま博物館になって、そういうのを活かしながら、もう一度オープンにしながら、あの他者の目に晒すというのはやっぱり大事だと思います。その足元から掘り出したものを、自分で気が付かないものもあるので、そういう事実、例えば、長嶋伸生さんの蔵がある。嶋三というそこに行って、これを江戸明治大正昭和、あの穀物、肥料、それからいろんな職業を金融業までなさってこられたこの多種多様な歴史が入っている蔵を今ちょっとこう、長嶋さんが少し今みんなに見てもらいたいからオープンにしてもいいかって言うこと、私もそのお手伝いしようかと思っています。そういう意味でまだまだ、長嶋、嶋三の蔵に限らない蔵、蔵を博物館だと思っていいと思います。それを蔵をそっくり保存していくのか、もっと活用していくのかというと、そこで分けて良いんだなと。その縦軸に掘るっていう仕事が大事だと思うけど、どうでしょうね。

【赤坂氏】蔵の街喜多方って言われますが、景観の中に点在する蔵っていうのがあります。その蔵が今の時代に活かされて、いろんな文化や芸術の発信源になるというような姿にはまだまだ少ないです。だから、一つでも二つでも使ってほしいという蔵を、みんなで建築家やデザイナー、アーティストなどの彼らの力ってすごいですから、呼び込んで新しい演出を施していくようなことが絶対に必要だと思います。そういうところに対して、振興局というのはすごく大きな支援者、サポーターだと思っています。最後に、髙野局長さんからこういう連携をしていけたらいいかなぁっていったところに、ヒントをいただけたらいいかなと思います。

【髙野局長】本当にこの蔵の街喜多方というのが、全国に広まっているなぁと思います。倉敷とかと比べて華美なところでもなく、落ち着いた、大人が楽しむ空間というか、大人が楽しんじゃえっていうのがここにあることを感じました。

やはりあとは、会津というところは最近移住者が増えています。昨年も会津の地域には116名の方が移住されています。移住の定義には移住と二地域居住と2つありますけど、116名中二地域居住を選択した人はたった2人です。他の114名は、移住したいということで移住されています。何をこう求めて来るんだろうなって思うときに、暮らしの中の蔵とか、蔵を軸にした文化だったりとか、そういったもので、あの移住ですからそこで豊かな人生をやり直したいとか、自分の人生を豊かにしたい、そういう想いでこう来るんだと思いますね。そういった方々も豊かさを感じていけるような、そして共有していけるような、そんな街づくりにこの蔵の文化が生きていけばいいなぁと思いました。私が13年前に会津に来た時に「会津の三泣きをちゃんと経験すっからなぁ」と言われました。今年来たときは、誰からも言われなくなった。今会津の三泣きの言葉を発する人が少なくなったというか、無くなったというか、それがこの私10年ぶりに帰ってきて大きく違くなったなと感じます。地域おこし協力隊の人たちが活躍したり、震災後あの浜通りの避難されている方皆さんを受け入れて、そして会津としても風評に立ち向かいながら、あと豪雨災害もあったり、いろんな意味で他の人からも、他の人も受け入れて、この地域で頑張ってきて、この10年なのかなと感じます。その中で、どんどんこう人との付き合い方というか、活かし方、他から来る方々を上手く活かしながら地域を発展させるというところが、おのずと出来上がっていると感じています。だから、会津ってもっとどんどん発展していく可能性はあると思います。振興局としては、一緒に考えて、共に汗をかいて、会津地域を作っていきたいと思いますので、皆さんよろしくお願いいたします。

【赤坂氏】3月にこの場所で会津の若手の人たちを呼び話を伺いました。その時に教えてもらったのが、震災以降喜多方の街から外へ出た友達が、家を継ぐとかいろんな目的で戻ってきています、ということを聞きました。この人たちは、外の世界を見て戻ってきていますから、すごく風通しが良いんです。横の連携をしています。今度、会津地方振興局の主催で喜多方に帰ってきた若者たちが今何を考えて何を始めているのかを、僕ら民間で行うより、振興局の方たちが行うと、彼らのいろんなメッセージやリクエストが引き出せると思います。たくさん戻ってきていることに感動しました。そしてその横のつながりがたくさんあって、会津と一言で言っても、かなり喜多方に限定された風景と思いますが、支えあっています。だから、移住してくる人たちもいるけれども、喜多方はどんどん若者たちが戻ってきているので、局長さんに若者の意見を聞く機会を開いていただくようお願いしておきましょう。会津地方振興局主催で行っていただけたら、面白い若者たち、どんどん発言します。今後の会津に期待できそうです。

最後に

【矢部会長】今まで蔵というものを一つの見方、固定的な見方をしていたところ、このシンポジウムにおいてご意見を頂いたところ、いろんな面から光が当たり、それによって今後栄えていくキーワードがたくさんあったと思います。このキーワードから、今後の喜多方の蔵の会の活動や会員の皆様に、今後の活動の提案の素ができると感じました。今日はいつもの蔵の面と違う面からいろいろ発想をいただいたので、大変楽しく聞かせていただきました。ありがとうございました。

【赤坂氏】短い時間でしたが、今日は会津地方振興局の髙野局長さんにお出でいただき、いろんなことを伺うとともに、こちらからのお願いもできたと思います。また蔵の会の活動と一緒にやっていければいいと思います。皆様、お付き合いいただいてありがとうございました。

※編集者により読みやすいように見出しを付すなど内容を修正しました。

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